藻屑と消える

藻屑 私 も くず

すきなひと考

わたしはほんとに恋多き女で、まあボーダーなせいもあるのかもしれないけど、すきな人ができて振られたりなんらかの反応であっもうだめだってなると2、3日へこんで、なんにもなかったようにけろっと立ち直って、また新たなすきなひとができる。

いますきなのはバイト先で出会った2つ上のおにーさんで、まずルックスがどストレートにタイプだったし何言か会話して、あ、この人すきになる、って思ったひとだった。

お酒飲んですごくワイワイはしゃいでて知らない人にもガンガン話しかけていくくせに、会話が途切れた瞬間や煙草に火をつける瞬間の暗い眼差し、いくつも扉を持ってそうな話しぶりや態度、すべてが魅力的だった。

どちらかといえば営業の目的よりも私欲が大いに勝っていたけれど、連絡先を交換して、その日からずっと連絡を取り続けている。
一度は2人で飲みにも行った。その後寝ちゃったし、つぎの日のお昼はなぜかわたしのバイトまでの暇つぶしにも付き合ってくれた。


優しいし、気遣いできるし、思っていたより好意的に接してくれるし、勘違いしそうになる。

向こうは自分が本当にモテないというけれどそれなりに女の子の扱いがうまくて信憑性に欠けるし、でもセックスは上手じゃないし、わざわざ休日の昼間をわたしのために使ってくれたし、どの証拠を拾ってわたしは彼に好かれているのかそうでないのか判断するのがとても難しい。と思う。
いままでさんざんいろんな男の人をいいように扱ってきたのに。

そして極めつけは、わたしはあくまで彼にとっては水商売の女の子だということ。
今現在どういう風に捉えられているかはわからないけれど、実際水商売の女の子なんだから、ときどき遊んであげるなんて適当なポジションにしかなれない可能性は高いということ。

それでも一週間後に水族館でデートする約束をとりつけたのは頑張った、と思う。彼の底知れない優しさによるものが大きいと思うけれど。

これからどうするかは、その日に決まるような気がしている。
いっそ告白しちゃおうかな。当たって砕けて終わりにしたら楽かな。とかついね、せっかくの関係をぶち壊しに走りたくなるのはボーダーの性か。